みんなそう言うけど私が逃したのは本当に大きかったのです

もう冬も目前、高い山の頂はすっかり雪に覆われ平野部でも何度か雪が降っては溶けてを繰り返すような時期に、一日だけ急にぽっかり暖かくなる「小春日和」。そんな日に鱒たちが大喜びでよく動くということが稀にある。
数年前の11月末のある小春日和に、今シーズンラストチャンスとばかりに道北のとある川まで出かけて行った私と友人。歩こうとしていた流域も中ほどに差し掛かった頃、ほどよい深みと流速のポイントを発見。ここからは良い魚が出ると確信して投じたフライ。核心部でマーカーが水中に引き込まれ、合わせると重みがロッドに乗った。予定通りである。しかしそこからが問題だった。この魚、とんでもなく重い。私の愛竿scottの4番はバットからしっかり曲がっているが魚を浮かせ切れない。「頼むからバレないでくれ・・・早く浮いてくれ・・・。」もう心臓はバクバクである。少し寄せては流心に潜られ、潜られてはジリジリ寄せてを繰り返す。少しずつこちらが主導権を握る時間が長くなり、あと一息か!と言うところで急にロッドからテンションが抜け、フライが空中に弾き出された。
膝から崩れ落ちる私と大笑いする友人。やられっぱなしの一部始終を撮影してくれていた動画の尺は6分に届こうとしていた。恐らく一生忘れることのない、最高の思い出の一匹である。