Hiking Memories vol1.偽物の頂き。

Hiking Memories vol1.偽物の頂き。

文・写真 shota igarashi

 

道南の七飯町に「駒ヶ岳」という山がある。この山は、かつてひとり旅で登った山で、今でもはっきりと記憶に残っている。山容の変化も面白く、私好みの山だった。


この山で一番印象に残っているのは、なんと言っても、山頂へのアプローチ。山頂は、ものすごく鋭く尖っていて、登れたとしても無事に戻れるのだろうか、と思うほどの姿をしていた。私はやっとの思いで、その頂にたどり着いたものの、そこは、かろうじて立てる程度の面積しかなく、反対側を覗くと、ほぼ垂直に切り立っていた。あまりに恐ろしい高さだ。風もゴンゴンに吹いている。

私は、ヤジロベーの様な格好で、その山頂に立たねばならないことに恐れおののいた。足がガクガクして、怖くて立ち上がることすらできなかった。それでも私は、たどり着いた頂きにしがみつき、「こんな山頂があるのか…」と、謎の満足感が心を満たした。


しかし、どうやら私は、実は名も無き岩峰の先に登っていたようだった。勘違いだったようで、後から”本物”の山頂に立つことが出来た。


我ながら、私らしいお馬鹿なエピソードだ。いや、山頂なんて誰かが決めたものだから、気にしなくていいのかもしれない。私には”偽物の頂き”の方がスリルがあって、よほど記憶に残っている。

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